2024年8月、舞台を観るために一宮へ行き、その帰りに名古屋で文具屋めぐりをしようと計画していました。
万年筆のお店を事前に調べていたところ、大須に「ペンランドカフェ」という隠れ家のようなお店を見つけました。
店内にはずらりと万年筆が並んでいて、店主さんと話しているうちに、ショーケースに入っていないものを裏から出してきて試筆させてもらえることになりました。
そこで手にしたのが、モンブラン256でした。
旅行中で、正直予算はオーバーしていましたが、書き味の良さにどうしても欲しくなり、購入しました。
左利きと万年筆

左利きで万年筆を使うのは、思った以上に難しいです。
右利きを前提に設計されたニブは、左手で持つと接地角が変わります。
押しつけるように書く場面でひっかかったり、インクフローが不安定になったりすることが多いです。
それまでで2万円前後の万年筆をいくつか試してきましたが、どうしてもガリガリとした抵抗感が気になって、書き味をあまり楽しめていませんでした。
転機になったのは、モンブラン144との出会いでした。
中古で入手したもので、使い始める前にうっかり落として曲げてしまい、万年筆宅配修理のマエストリートさんに直してもらったという経緯があります(その顛末は別の記事に書きました)。
修理後の144は軽くてタッチも柔らかく、これまで使ってきた万年筆とは明らかに違いました。
ただ軸が細くてニブも小さいぶん、どちらかといえば携帯用・手帳用という感じで、もう少し大きくて更に柔らかいニブがあれば、と思っていました。
ヴィンテージのモンブランは書き味が特に柔らかいとネットで見て、そこから興味を持つようになりました。
書き味
試筆の時に店主さんに左利きでも大丈夫と言われた通り、これまで万年筆に感じてきた抵抗感が、ほとんどありませんでした。
紙の上をニブが滑るというより、潤沢なインクフローでなめらかに進みつつも紙に吸くような感覚があります。
私はいつもモンブランの万年筆を象牙の印鑑に例えています。(動物保護の観点は置いておきます)
印鑑を作る人や象牙の印鑑を使っている人以外には伝わらないかもしれませんが、ぐっと紙に吸い付いて陰影がくっきり残る独特の感覚が、モンブランの万年筆を使った時の感覚と似ています。
柘植や水牛とまるっきり違って、一度それを知ってしまうと、他の印材には戻れなくなります。
256もそういう万年筆だなと思いました。
モンブラン256について

256は1950年代に製造されたヴィンテージモデルです。
黒セルロイドのボディに透明なインク窓(後期のものは青のようです)、ピストン吸入式です。
ニブは14Cゴールドで、私が持っているのはEFニブですが、国産のFくらいか、やや太いくらいの線幅が出ます。
キャップをつけた状態で135mmほどです。
ずんぐりとした存在感のある軸ですが、手に持つと意外なほど軽いです。

キャップと尻軸に刻印があります。
尻軸はうまく撮れませんでしたが、「256」「EF」と刻まれています。

首軸とペン先はこんな感じで、拡大するとそれなりの経年変化が見られます。
使い込むことでどんどん劣化は進んでいくので、使わずに保管した方がいいのでは?と悩んだ時期もありましたが、この書き味のペンを持っているのに使わない方が勿体ない!という考えになり、今はメインの筆記具として使っています。

天冠はクリーム色で可愛いです。
ひとつ注意点として、キャップはカチッと閉まる感触ではありません。
奥まで差し込もうとするとキャップが割れてしまうので、インク窓が隠れるか隠れないか程度の位置で優しく閉めています。
144と比べると、握り心地はどっしりとしています。
軽いですが軸が太いぶん安定感があって、長く書いていても疲れません。
トフィーブラウンとの組み合わせ

256には、モンブランのトフィーブラウンを入れています。
このインクは、144用にカートリッジを購入してから気に入っています。
他にありそうでない華やかな感じの美味しそうなブラウンです。
ずっとボトルインクが欲しかったのですが、モンブランの瓶インクは価格が高めで、変質するという話も見かけたのでしばらくは他のブラウン系インクで代替しようとしていました。
それでもどうしても256にトフィーブラウンを入れて使いたくて、先日ナガサワ文具センターで購入しました。

結果的に、持っている中で一番気に入っているインクになったので、もっと早く購入しておけば良かったと思いました。
手帳のメインとして

最近はMDノート(横罫・新書サイズ)に何でも書いているのですが、トフィーブラウンはとにかく相性抜群です。
256はインクが結構入るので、つい長期間使ってしまうのですが、インクが煮詰まってくると黒に近い茶色になることと、ペン先が詰まる可能性があるので定期的に洗浄するようにしています。
高いから・ヴィンテージだからということで、しまっておくのも一つの手だと思います(実際見た目が可愛すぎて勿体なくて使っていない万年筆もあります)それでもこの書き味を体感すると、どんな些細なメモでも、
どうしてもこの万年筆で書きたい!
という気持ちになり、モンブラン256をメインの万年筆として選んだというお話でした。
